【開催レポ―ト】 創造性を高めるワーケーション!~ ICの働き方×働きがいをデザインする ~

ポストコロナ社会のワークスタイルとして注目される「ワーケーション」。近年の調査で、ワークスタイルの自由度が個人のパフォーマンスや創造性に大きく影響を与えることがわかってきました。
日本でのワーケーション研究の第一人者、山梨大学教授・田中敦先生をお招きし、ICやフリーランスにとってのワーケーションの魅力とその創造性についてご講演いただきました。
今回は、このセミナーのモデレーターを勤めたアイズプラス 代表/IC協会理事 の池照から講演内容についてレポートします。

ワーケーションとは、リモートワークなどを活用し、いつもの職場や居住地とは異なる場所で、Work(仕事)をしつつVacation(休暇)も楽しむワークスタイルを指します。
GoToトラベル事業の一環で推進されたワーケーションは、コロナ禍に対応した新しい働き方として認知されました。その後、多様な場所でリモートワーク環境が整備され、蜜を避ける行動の必要性から、ワーケーションを実践する働き手が増加しました。

本来は仕事と余暇をミックスした個人の活動を指しますが、チームで合宿や仕事をするグループミーティング、出張を利用して余暇を楽しむブレジャーなども含めて、日本では広くワーケーションと呼ばれています。
自分の行きたい場所に行き、そこで仕事とプライベートを充実させる。自由度の高い働き方を世に広めたことは、ワーケーションのひとつの功績といえるでしょう。

実際に、どのような人がワーケーションを取り入れているのでしょうか。
傾向として、専門性をいかした働き方や副業・兼業への志向性が高い、アイデアや職務能力に対する自己評価が高いなど、ポテンシャルが高く充実感を持っているタイプが多いという調査結果があります。これはVUCA(ブーカ)時代に必要なイノベーターやアーリーアダプターと呼ばれる人たちの特性と一致します。

また、仕事におけるパフォーマンス向上因子に関する研究では、パフォーマンスが高い層ほど、仕事で利用する「場所の種類」や「移動」が多いという結果が出ています。パフォーマンス層の上位25%の内、3種類以上の仕事場を持っている人が4割おり、目的にあわせて場所を柔軟に使い分けています。
これはICやフリーランスのワークスタイルに近く、多様な場所で働く選択ができることが、パフォーマンスの高さにつながっているといえるでしょう。

では、企業や経営者がワーケーションを推進するメリットはなんでしょうか。
近年、新卒や転職希望者にとって、リモートワークなどの柔軟な働き方ができるかどうかが、福利厚生の充実とあわせて企業選択の重要なポイントになっています。
ワーケーションの主な効果である、生産性の向上、人的ネットワークの強化、健康増進などに加えて、20代の若手採用やより優秀な人材の雇用につながる点は、企業にとって大きなメリットといえます。

一方で、人材育成やマネジメントの難しさ、業界や企業間での連携面での課題などから、導入に慎重な意見があるのも事実です。時代の変化に合わせて、ハイブリッドな働き方を最適にマネジメントできる仕組みづくりが、企業側に求められています。

WAA(Work from Anywhere and Anytime)=好きな時間に好きな場所で働くことが、個人の生産性や創造性に良い影響を与える、という研究結果があり、活動が広がっています。仕事を含む日常生活の中で、新しい情報や刺激、出逢いを得ることは、創造性を高める大きな要因です。
近年登場しているサブスクリプション型の宿泊サービスやコリビングプラットフォームは、そういった創造性の高い環境を意図的にデザインする新しいサービスインフラとして関心が集まっています。


ワーケーションは最後は「人」。拠点ごとにおもしろい人が必ずいて、そのコミュニティでのつながりを通して、セレンディピティの確率を高めることができます。ICやフリーランスの方たちにとっては、新しい働きがいや生きがいの創出につながる、魅力的な環境といえるのではないでしょうか。

最後に田中先生より、「WAAからWAAA=Work from Anywhere Anytime Any Communityへ。仕事と休暇だけでなく、さまざまな地域で多様な視点やスキルを持った人たちと出逢い価値共創していくことが、ワーケーションの醍醐味といえる。ぜひワーケーションを活用し、より充実したワーク&ライフスタイルをデザインしていってほしい」とのお言葉をいただきました。

先生のお話後に実施したグループワークでは、「どこでワーケーションを実現するか具体的に検討したい」「鎌倉会場の居心地のいい雰囲気でワーケーションがイメージできた」など、ポジティブなコメントや感想が多くありました。モデレーター池照から「今日の話から、年内に何か1つでも行動を起こして報告を!」という宿題が出され、さっそく
・IC協会のブログに反応した!
・来月ワーケーションする予定をたてた!
・大阪行きます!
などさすが行動の速いIC達から、宿題報告がありました!
今後もICやフリーランスを目指す方たちにわくわく働く姿が見せられるよう、WAAAを積極的に実践していきたいと思います。ご参加くださいましたみなさま、どうもありがとうございました。

【ゲストスピーカー】
田中 敦 教授
山梨大学生命環境学部教授

横浜国立大学卒業後、JTBに入社し、教育旅行・在外拠点(ニューヨーク・ロンドン)・MICEなどの業務を経験。平成12年に本人出資型社内ベンチャーとしてJTBベネフィットを起業し、取締役に就任。
(2022年4月にパソナグループに事業売却)その後、本社、JTB総合研究所などで事業開発・観光地経営・観光人材育成などに従事。平成28年、山梨大学地域社会学科観光政策科学特別コース新設を機に現職。
日本国際観光学会ワーケーション研究部会部会長、観光庁「新たな旅のスタイル検討員会」委員。
一般社団法人ワーケーションネットワーク湘南の理事も務める。